不気味の国へ ようこそアリス






― おはよう。さぁ、目を覚ましてアリス ―







「ん・・・。」

「朝ですよ〜」






深い暗闇からうっすらと目を開けると、日の光を浴びた。私は草むらの上に寝転んでいて、周りは木に囲まれていた。

私が目を覚ましてまず見た光景は、とてつもなくえげつなくて、そのショックの大きさで動けなくなってしまった。

だって…これはいくら何でもキツイでしょうに。








目の前には、六道骸がドレス姿で仁王立ちしていた。







やべっ。目が腐る。



失礼ですね。








彼は少しプクっと膨れた顔をして、クルッと回ってみせた。

「可愛いでしょ?さぁ、跪きなさい。」とか言っちゃってるんですけど。

いや、全然可愛くないからね。というか、跪かないから、そんな期待で満ち溢れた目で私を見下ろさないで。

彼がクルッと回ると揺れる・・・ドレス。あれ?今何か見えそうになったぞ。







「ちょっと!やめてぇ!見てはいけない、いや、むしろ見えてはいけないものまで見えちゃうから!」


「クハハハ!さぁ、見なさい!僕の全てを!」






すっごい危険なんですけど。特にそのスカートの中とか、スカートの中とか、スカートの中とか。

やべぇ、コイツの頭のナッポー毟りたい。







「で、何でそんな格好を?そして、ここは何処?」





この微妙は空気が嫌で、私は今目の前に起きている現実に意識を戻した。







「いやですねぇ、アリス。ここは不思議の国ですよ。あ、僕のことは女王様でいいですからね



「私アリスじゃないんですけど女王様・・・って呼べるかぁ!







いったいお前は何がしたいんだ、だいたいなんで女王様なんだ。

私は持っていたハリセンで彼の頭を思い切りドツいた。

驚くほどに吹っ飛び、城っぽい壁に突っ込むナッポー危険物体S。

彼は壁にめり込んだものの 神業的生命力で復活したあげく、何もなかったかのように私の目の前までサッと戻ってきた。

その間の時間、わずか3秒。






リッボーン


何ですか、その地球外生物でも見るような目は






人間という限界を大いに超えている骸を見て、改めてゴキブリ的生命力の強さというものを思い知った。








「ところで、もしここがイギリスの童話である少女アリスがおとぎの国へ行って様々な冒険をするあの不思議の国であるとして、

百歩譲って私がアリス、骸が女王様だとしよう。」



「分かってくれましたか?」


「だから百歩譲ってだって言ってんだろうが!!」








今度は持っていたハンマーで彼をぶん殴った。

今さら気づいたけどなんで私、こんな物騒な物持ってるんだろう。

彼は凄く良い笑顔を浮かべながら、城の上に吹っ飛んで、墜落した。







ドカーンと大きな音がしたけれど、大丈夫。そんなのへっちゃらさ♪的は法則で、彼はまたもや復活を果たした。

デジャブ。彼がどこまで耐えられるか試してみたくなった瞬間。






「で、話を戻すけど」


「はい、何でしょうアリス」







くっ・・・抑えろ自分。今コイツにかまって話を止めている場合じゃないんだ。落ち着け自分。冷静を保て。

そしてそのナッポーを毟り取れ。





口から出てますよ


「もう、ほっといて下さい」





これ以上、時間をロスする訳にもいきませんから。







「だから、何でもうすでに大ボス的存在が出てんですか。お前の出番は最後だろ!持ち場にもどれ。

というか、もう一生出てこないまま物語終わっちゃって下さいお願いします。」


「クフフ。クッフフフ。クフ・・・グフングフン・・・ぐすっ・・・ずずー」



マジ泣きやめて下さい






彼は胸元に手を突っ込んで、ハンカチを取り出し、鼻をかんで復活した。


うゎぁ、トラウマになりそう。





「クフフフ、僕はこんなことでは負けませんよ」





どんだけ立ち直り早いんですか貴方。







「そういえば、骸がここに居るということは・・・もしや・・・あの人も・・・」


「よんだ?「呼んでません」」





さも普通に草むらから出てきたあの人。そう、ちょっと寝癖が入ったような綺麗な黒髪に、肩には鳥を乗せてご登場。












もう、この際、王子様の服を着て白馬に跨り登場してても気にしないから。









「・・・・・」


「・・・・・・・ねぇ、アリ「アリスじゃありませんからね」


「・・・・・」


「・・・・・・・迎えに来たよアリs「アリスじゃないって言ってんだろ」・・・」



「・・・・・・」


「分かった!分かったから泣かないで!」







雲雀さんは出てきた草むらに戻りながら涙を流していた。

なんだか私が悪者になったみたいだ。







「おや、何しに来たんですか雲雀くん」


「何しにって、そんなの決まってるだろ?アリスを向かえに来たんだよ」


「迎えにって・・・クハハハハ!不思議の国に王子なんて出ませんよ!」






言ったぁぁぁぁぁ!ついに言ったぁぁぁぁ!

そこにはあえて触れていなかったのに。









「・・・え?そうなの?」








本気だー!!!



コイツ本気で言ってるー!!!!なんでそんな小動物みたいな顔して頭を傾けているんだぁぁあぁぁ!並盛最強委員長!







「君は自分の国に帰ってシンデレラでも白雪姫でも嫁に貰ったらどうですか?」



「キミなんてパイナップル王国に帰ったら?故郷だろ」







どっちもどっちで何とも言えない。

よし、今のうちにちょっくら逃げとくか。






「大体その格好何?化粧とかも濃いんだけど。」


「クハッ、キミこそカボチャパンツですか?幼稚園児か何かですか?」




「・・・・・」





うわぁ、また雲雀さんが泣きそうだー

こうしちゃいれない。何だかこう母性本能が・・・






「雲雀さん、泣かないでください。その格好似合ってますよ!可愛いですから」



「・・・・」



「クハハ!」





やべぇ、トドメを刺しちゃった。

もう涙出る寸前だよ。スン止めだよコレ。







「じゃぁ、アリス。僕の城に行きましょうか。」



「は!?」



「・・・だめ。そんなの絶対に許さないから」






雲雀さんはうるうる状態で私の服の裾を掴んだ。

ちょっ、上目づかいヤバイよ。そういえば、何かいつもの雲雀さんより少し背が低い気がする。

破壊力バツグンだ。

可愛い。




すんごい可愛い






「ちょっ、アリス。何ですかその虜になったような目は!騙されてはいけませんよ!さぁ、僕を見てください!」



無理です。目に毒です。直視できません



「ふっ、僕の勝ちだね。」



「なっ!」





なんだか違う方向に走り出したとこ悪いんですが、私って何でここにいるんですか。







「どうしたら元の世界に戻れるんだろう」


「簡単だよ。呪文を唱えればいいんだ。」


「じゅもん?」





不思議の国のアリスってそんな話だったか?

いや、良く考えろ自分。もう女王やら王子が出てきている時点で不気味の国って感じだけど。







「こうね。『マッチョリーノ』って唱えるんだよ。」






そう言って雲雀さんは右手をビシッと上げた。

なんですか、その手の振りも必要なんですか。

というか、なんでそんな呪文なんだ。もっとマシな呪文はなかったのか。








「クフフ、違いますよ。『社内戦隊☆社長レンジャー!』と唱えるんですよ」







そう言って骸は両手を天に向かって掲げた。

なんだよその戦隊物。呪文じゃないじゃん。






「なんか、どっちでもいいや・・・」






早く帰りたいな。






「「じゃぁ、同時にやったらいいよ(やって下さい。)」」




「わぉ。」




ガガガガガガビー






目が覚めたら私の左には雲雀さん。右には骸が一緒に寝ていた。

か・・・川の字?

とりあえず、戻れてよかった。

さ、マイホームに帰ろう







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亜衣様リクエストの普通の夢バージョン☆骸VS雲雀☆ギャグ☆。

えぇ、もうすでに普通じゃないですとも。(ワォ)しかも名前変更する必要がないという。(ヲイ)

なんか雲雀さん勝利的な感じがしなくもないですが、骸・・・ごめん。大好きなんだよ。愛してるんだよ。(矛盾)

ただ、こう白雪姫パロやったから不思議の国もやりたかった風。

えぇ、まったく不思議の国関係ありませんよ。ハハ・・・なんかギャグなのに面白くない(汗)

亜衣様ごめんなさい。書き直し断然OK!なのでいつでも言っちゃってください。

PS 逃走(ワォ)