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〜始まりの鐘〜






小汚い人間め・・・


皆消えてしまえばいい・・・







母の敵をとったあの後、どこへ行くでもなく、さまよっていた。

自分の着ている服は、破れ、汚れ、返り血で血まみれ。

すれ違う人間共は、あたかも変なものでも見るような目で見てくる。



《 なんだ?あれは。 》《 やめとけ、かかわるな 》《 薄汚いガキだな 》

声が聞こえる。心の声が。

苦しい・・・。すべてを消してしまいたい。

いくらこの手を汚しても、心は満たされることを知らず、

闇は膨らむばかり。


消えてしまえ   すべて消えろ 



「お腹空いたな・・・」


そして今日も、生きるために人間から食料を奪う、そう、生きるために。

だから、そのためには手段なんて選んでいられないんだ。

鬼を集め、従わせ、人間に要求する、

素直に食料を渡せば殺さない。


背に腹はかえられない、人気のない通りにて獲物を待つ。





「来た・・」




今回はどうやら大物のようだ。

2、3人がりっぱな籠を担いでやってくる。

おそらく、中に人が乗っているんだろう。

籠の後ろには食料が見えた。旅の途中か?もしくは帰りか。


どっちにしたってかまわない。鬼を相手に戦える人間なんてそういない。

その籠の前に立つ。鬼達とともに。


「食料を出せ、さもなくば命あると思うな」



すると、体つきが良く、背が高い男が、前に立った。


「なんだ貴様は!ここに居らす方を誰だとお思いだ」


誰?誰だって?そんなの知る訳ないだろ。



「誰?そんなもの誰だってかまわない。」


「なんだと!?その命、あると思うな!」


大男はこちらに向かってきた、鬼と戦うというのか?

馬鹿な人間だな。


「まて」

「!?」


籠の中から声が聞こえた。その一言で大男の動きは止まった。


「僕がやる。」



すると、自分と同じ年頃の人間が出てきた。

この服装は・・そうか、これが世間で言う陰陽師というやつか。


「しかし、様。」


「そこをどけ」



ソイツは刀のような物を出し振りかざす。

一瞬だった、

鬼が・・散ってゆく。

綺麗に散ってゆく・・・・


そして、今度はこちらを見てきた。

なんだ、この吸い込まれるような瞳は。



「君、名は?名はなんと言う?」


ソイツから出た言葉は、まるで何を言っているか理解できなかった。

何だ?コイツは何なんだ?


「・・・麻葉童子」


何故だかその時、そう名乗った。

言わなければいけない気がした。野生の直感だろうか。



「ふ〜ん、じゃぁ君の名前は今から葉王だ

「・・・は?」 


この人間は何を言っている?葉王だと?


「今決めた、さぁ決めた」

「・・・」


こんな見知らぬ奴になぜ自分の名前を決められなければならないんだ。

それより、なぜだ、コイツの心が読めない。


「何で心が読めない?って顔してるね。僕より弱い君なんかに、心を読まれるわけないだろ。僕は。」


・・?」


「ちっが〜う!!!師匠と呼べ師匠と!」


「えぇ!?」


いったい何なんだコイツは、初めて会って名前を決められ、挙句の果てには師匠と呼べだと?


《《《《バシコーン》》》》



ドカーーーーーーーン





数メートル吹っ飛んだ



綺麗な弧を画いて地面にぶつかる前に、さっきの大男と他の奴らが手を合わせていた。

いったい何だって言うんだ。

まるで、ご愁傷様と言ってるみたいだ・・いや、実際そうなんだろうけど。


「僕はコレを弟子にする。屋敷に運べ。」


薄れ行く意識の中でそんなことを言っていた。

コイツはいったい何をしたいんだ?



「文句ある奴はかかって来い。ぶん殴る。」


「「「いえ、めっそうもございません!!!」」」


何がなんだか分からないが、コイツには逆らえないだろうとその時思った。


それが始まり。


そしてここで意識は遠のいた。



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ほんと、何がなんだか(え)

シリアスで始めて、ギャグでばっと斬る!って感じでしたね。(いや、誰のせいだ)

主人公、男っぽいですね。まぁ、見た目も男っぽいってことで(何その設定) 一人称、今のところ僕で。