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〜マツリ祭り祀り〜







「あれ?ここ、どこ?」


「城下町の祭りだって」


「いや、これはどう見ても・・・」



まわりに見える人々は皆、陰陽師。

なんか不気味だ。

それだけじゃない。ここは・・・



「城の下にある町。まさしく城下町!」


「違うよ。城下町じゃないだろ。」



だってここ、地下だよ。


「城の地下にある町は城下町なんて言わないよ。」


「そうなの?」



ってヲイ。

いや、それより、

城の地下に町がある時点で問題なんだよ。

どうなってるんだ、この城の殿様。



「何、この空間。明らかに可笑しいだろ」


「そりゃそうだよ。この祭りは、陰陽師だけの祭りだからねー。」


「へぇ、そうなの。」



べつにそういう意味で言ったわけじゃなかったんだけどな。



「だから、一般人の祭りとは全然違うんだぞー」



なんで君が得意げに言うんだよ


「へぇーへぇーへぇー1へぇ


「ノン!?ショーック!!」


僕は何気にショックを受けているを無視してこの環境に慣れようと必死だ。


周りを見ると、列のように連なる夜店。

どう見ても一般の祭りと一緒だ。


わなげ、リンゴあめ、たこやき、たくあん、・・・・・・・



は!?たくあん!?何で、たくあん、なんてあるんだよ!?明らかに可笑しいだろ!!


店の前で叫ぶ僕。

すると、たくあんの店の主人がこっちを見たため目が合った。

ヤバ・・・あ・・・あれ?見たことあるぞコイツ・・・。そう、最近見たというか、毎日いやほど見てるっていうか・・・。


って、ゴッチ!?


「おぉ!葉王殿ダス!」


こんなところで何やってるんだよモドオナゴッチ。

さっき、行きたいって言ってたけどに却下されてたじゃないか。

というか、いつの間に僕らより先に来てたんだ。

は・・・まだショックを受けているらしく、違う世界から帰ってきていない。


「何やってるのゴッチ。」


「ゴッチは資金集めをしてるダス!」


「資金集め・・・?何のために?」


鬼が資金集めて何する気だよ。

というか、資金集めのため夜店でたくあんを売る愉快な大鬼を僕は見たことないよ。

すると、ピュアーなゴッチは笑顔で言う。

ちょっと、いくらピュアーでも大鬼が微笑んでも怖いだけだから。



様が壊した襖を新しくするための資金ダス。」


あぁ、君ってば良い大鬼だよ。

ほんと同情するよ、ゴッチ・・・



「そう・・・頑張ってね」



ほら行くよ。と僕はを引きずってその店から離れた。

だって、凄く巻き込まれそうだったから。

嫌だよ。こんな祭りの時までトバッチリをくらうのは。




「あ、葉王!ま・と・あ・て・だ!やろうやろう!」



的当てを見た瞬間、どうやら違う世界から帰ってきたらしい

ホント遊ぶの好きだなー。



「うん。いいけど、がやるの?」


「もち!!」


何だか、殺る気満々・・・じゃなかった、やる気満々とといった感じだ。

目を輝かせて両手でガッツポーズ。

は、一目散に店めがけて駆け出した。

後に続く僕。

ちょっとまってよ、早すぎるってば。



「おじさん!的当て一回!」


「お、ぼっちゃん、やる気かい?」


「スイマセン、その子、有り得なくてもお譲ちゃんなんです。」


「そうなんです☆」



ちょっと、突っ込んでよ

おじさん、君も納得しないでよ。



「じゃぁ、何でも投げていいぞ、譲ちゃん。」


え?何でも投げていいって的当てでしょ?

ほら、なんか道具ないの?

的当て台は普通なのに。



「わーいv」


え?ちょっと、さん?



「何を投げてもいいってどういうこと?」


「ここ、陰陽師の祭りだから。」



あぁ、なるほど。何でも有りなのか。陰陽師だけに。

って、納得いかないよ。


「じゃぁいくよ。」


と言って投げる気満々の

え、その投げるやつって・・・



「ちょっとまって!」


僕は投げる寸前のを止めた。

   が、


「何?」



は投げてしまってから振り向いた。


バコーン


あちゃー

遅かったか・・・

ごめんよ・・・ゴッチ。




「・・・ううん、もういいんだ。」



もう終わったことだから。

そう、が投げたのは、まぎれもないゴッチ。

僕は何も見なかったことにした。



「お、お譲ちゃんやるね〜」


ちょっと、このおじさん、的当て台ぶっ壊されてもすっごい笑顔だよ。

大鬼ぶちこまれたんだよ?

逆に怖いよ、かなり。



「じゃぁ、この商品もってけー」



そんな訳で、今、僕らの手には ちくわ が握られている。

商品がちくわ10本ってどうよ。

欲しくないよ、そんな商品。

せめて金返せよ。



「ふふふ〜vちくわ〜v」


「・・・」


ちょっと、何でそこ喜んでるんだよ。


「また来年行こうな葉王!」


「うん・・・気が向いたらね」


嬉しいような悲しいような。

そんな平安時代、陰陽師祭り。




僕達はちくわを持って屋敷に帰った。




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なんだ、なんなんだこの祭りは。(お前が言うな)

ゴッチぃー。ごめんよぉー。マジで虐められキャラになったよ。(お前のせいだろ)

ちょっと、何気に龍とか出したかったんですが、長くなりそうなので泣く泣く却下。(いや、連載だから次やればいいだろ)

か・・感想まってます(え)