「葉王殿!大変ダス!!緊急事態ダス!」
「なんでだろう、その語尾のせいで危機感が薄れるよ。」
だって『ダス』だし。
何か毎回になりつつあることだけど、大鬼のモドオナゴッチは、天井から僕に向かって叫んでいた。
いったい、なんでそんなところにいるんですか。
その日は突然やってきた
N 一章★完結
〜さよなら、私、女になります〜
「葉王殿、今はそんなこと言ってる場合じゃないダス。様と父殿がお呼びダス。」
「え。は分かるけど、あのの父まで?いったい何があると言うんだ・・・」
の父といえば、マッチョを指パッチンで呼べるという印象しかない。
父=マッチョ軍団と、方程式ができつつある僕の頭の中。
できれば、行きたくない。
非常に行きたくない。
「また今度ということで。」
「今度もくそもないわぁ――――――!!!」
スパコーン
「痛っ」
ちょっと、何でいるの?。
どこから出てきたの?
いや、どこから沸いて出たの?
「葉王を呼びに来たのさ☆」
「わぉ。」
呼びに来た、じゃなくて無理やり連れて行くって感じの笑顔だよそれ。
しかも、手には明らかに人を捕らえるための縄が握られているよ。
「今回は何が何でも、来てもらうよ。葉王」
「今回はって、毎回無理やりに連れて行ってるじゃないか。」
僕の拒否権なんて尊重されたこと今までにあったっけ?
いや、なかったな。
「まぁ、そんなことより、さぁ、ゆくぞ!」
「ごめん、行くから、行くからその縄で縛ろうなんて考えないで。頼むから」
だってもう、この子、縄を僕に向けてるよ。
やる気満々だよ。
「ちっ」
舌打ちしたぁ―――――――!!
ってな訳で、僕らは今、父殿の部屋にいるわけで。
何やら思い空気が漂っていて、冷や汗すら流れる。
何か、娘さんを僕にください風の雰囲気だ。
「葉王とやら。」
なんて思っていると、父は重苦しい雰囲気で僕のほうを見た。
その眼差しは真剣そのものだ。
「はい、なんでしょうか」
「修行のほうはどうだ?はちゃんとやってるか?」
「嫌だな父上、僕は最善をつくしました」
が会話に割り込んできた。
うっそだぁ。
最善って何だよ。何なんだよいったい。
「え・・いや、その・・・」
「あぁ、分かるぞ葉王、君の気持ちは痛いほど分かる。」
「え、いや、僕はまだ何も・・・」
「分かる。分かるぞ〜〜〜〜〜」
「いえ、ですから僕は「分かるぞぉ〜〜〜〜」」
ボコッ
は実の父親に一発殴りこんだ。
頼むから良い子は絶対にマネしちゃ駄目だよ。
振り出しに戻る。
「そこでだ葉王。」
「一体全体、話しが読めないんですが、続きをどうぞ」
ここでまた話しを詰まらせてたら日が暮れそうなので、僕は続きを要請した。
の父は、また真剣な顔をすると。こう言ってのけた
「麻倉家に行かないか?」
「は?」
麻倉家って、どこですか
そして、何ステップ話しの会話が飛んだ!?
「いや、麻倉家に養子に行かないかということなんだが」
「養子ですか?」
「なんでも、お前を一目見て気に入ったそうだ」
一目見てって・・・見られた記憶がないんだけれども。
いったい、いつの事なんだろう。
と思ってると
「それが、無人島で必死に頑張る姿を見て感動して、ぜひ養子にということだ」
「なんですかそれ」
あぁ、あの夏の強化修行か。
というか、その人はいったい無人島に何の用があって来てるんだ。
そっちのほうが僕は気になる。
「麻倉家と言えば、陰陽師でも有名な名家でな、悪い話ではないぞ」
「・・・その麻倉家というのは何処にあるんですか?」
父殿の瞳が一瞬、曇る。その横にいるはいたって普通だ。
「出雲だ。」
「出雲か・・・遠いな」
結局、僕は、父の指パッチンで現れたマッチョ軍団の圧力に勝てず、出雲に行くことになった。
あぁ、わかってるさ。もともと拒否権がなかったことぐらい。
僕は廊下から庭を眺めていた。
今日は月がいつもより小さく見える気がする。
「そう?大鬼ならマッハで3分ぐらいで行けるよ」
「それはにしかできない芸だよ。」
大体、大鬼の使い方間違ってると思うよ。
まぁ、口が裂けても言えないけれども。
「10年間は都に帰って来れないらしいし」
「10年なんて人生で短いもんだよ?」
「いや、長いよ」
とくに今の時代なら、けっこう長いよ。
平均寿命が短いからね。
「僕もこの10年で頑張って女になるために修行だし。」
「えぇ!?」
何その爆弾発言。
サラッと言っちゃう事じゃないよ。
「良い女になって、世の中の男どもをトリコにしろと先生が」
「それ、先生変えた方がいいよ。絶対に」
前々からあの先生はやってのけると思ってたけど。
まさかここまでとは。
「「まぁ、とりあえず。10年後までさよならだね。」」
「まさか、いきなりこんな事になるとは思わなかったけど、がいなかったら今頃、僕はこの世にいなかったかもしれないし。」
「いや、僕は葉王は生きてたと思うよ〜執念で。」
さすがの僕でも君よりは執念ないよ。
というか、君には負けるよ。
「何かいろいろあったけど、凄く楽しかったよ。」
もう、何かいろいろありすぎて何がなんだか分かんなかったけど。
「僕は、出雲で陰陽師として修行を積むよ。絶対により強い陰陽師になるから。約束する。」
バシコーン
「げふっ」
「師匠を越えるというのか!?ふははは、いい度胸だ!心して頑張って来い!」
分かってるよ。
それが君の優しさだってことぐらい
でもさ、ちょっと手加減して下さい。
地面にめり込んじゃって抜けそうにありません。
「都に帰ってきたら、に言いたいことが・・・、伝えたい言葉があるんだ」
「・・・僕より強くなるまで帰ってくるなよ」
「あぁ・・・」
そしたら言おう、
君に
好きだよ
の一言を
一章★完結
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無理やり完結。(マテこの野郎)
今まで読んでくださった神様的方々、有難うございました(土下座)
さて、一章!完結編N話!どうでしたでしょうか。
今回は一応、一章完結ということだったので、ギャグだけじゃなく、シリアスや甘めも圧縮にしたのですが。
ぶっちゃけ、一章というか、師匠ぶっこみ条の憲法自体が完結いたしました。
次の2章からは2つに分かれるので、題名からして変わります。
では皆さん、二章で会いましょう!ごきげんよう!(逃走)
ps感想、待ち構えております。(えぇ!?)

